奏でるものは 〜功介〜


「どうした?」


振り向くと唯歌が俯いたまま、……してよ、と呟いた。


「え?」


「もっかい、キスしたい」




驚いた、けど、思い切り抱き締めた。


「コウスケ……」



俺の名前を呼んだ唇を俺の唇で塞いだ。

舌を入れると、唯歌の舌が反射的に絡んでくる。


唯歌の腰から背中を触る。


ん……と唯歌が離れそうになるのを、後頭部を持って、俺に押し付けた。

さらに深くなる。


ん……と俺の胸を叩いて来たので仕方なく唇を離した。



「も、どうしていいのかわからなくなる……」



胸にもたれてくる唯歌を優しく抱き締めた。




「初めてだった?」


小さく頷いた唯歌を、強く抱き締めた。





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