奏でるものは 〜功介〜



車で寺の駐車場を出るとき、見覚えのある車とすれ違った。


多分、優とカオリちゃんだろう。


お互い、気付かない振りをした。



家に帰ると笑顔で、おかえり、と言う妻の声に、二人の子ども達もテレビから顔をこちらに向けて、おかえり、と言う。



唯歌に出会って20年。

今では、愛する人が増えたよ。

俺は、生きていくよ。




いつか会えたら、殴るなよ、唯歌。





奏でるものは  〜功介〜  完







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