奏でるものは 〜功介〜
諦めて引っ張られていても、唯歌が俺の腕を離さないから、まぁいいか、と引っ張られるままになっていた。
「ごめんね、デートの邪魔だったよね」
「いや、大丈夫です」
龍と唯歌の会話が聞こえる。
「だったら、邪魔者は消えろよ」
まだ唯歌を優達に合わせるつもりは無かった俺は、ここで偶然会ったことが驚きと何故か照れが意地を張らせていた。
「まあ、そう言うなよ」
と、優がニヤッとして言った。
「奢れよ」
走って逃げるわけにもいかず、諦めながら言った言葉に、誰も返事しなかった。