奏でるものは 〜功介〜


それから、予約していた映画館に行った。

「あちらからどうぞ」

と案内されたのはペアシートの1番後の席。


「ペアシート、初めて来たわ……」

「俺も………」


背もたれも高く、ソファーのようになっている席は、座ってみると二人の世界になる。
肩を寄せ合っていると、唯歌の暖かさに、頬が緩む。


こんな時にホテルで二人の時間を持つには、高校生ではやっぱり難しい。


映画が始まると、ついウトウトしてしまった。



気付くと映画も終盤で、唯歌も寝ていた。


ある意味、二人でゆっくりできた、ということだろう。




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