副社長のいきなり求婚宣言!?

2 副社長様はご存じでした

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　３階にある総務部庶務課に到着するまでに、エレベーターの中の一瞬の間に起きた出来事を、何度も反芻してみた。

　
　副社長様は、開口一番に何とおっしゃっていた……？？


　――“俺と、結婚してみないか……！”


　け……？


　“あれ”以来、その言葉を頭に浮かべるような環境に身を投じてこなかったから、唐突に耳に入ったそれの意味を理解するのに、大いに時間を要した。

　しかも、本当は二次元の世界の人なんじゃないかって思っていた雲の上の人物に言われたのだから、なおのこと。

　一層その言葉の意味を、簡単には飲み込めずにいた。　


　自社ビル二十二階にある社員食堂から降りてきて、三階フロアの隅っこにある庶務課の自席に着いた今日の午後。

　月の真ん中でさほど忙しくなくまったりとした業務時間のほとんどを、長谷川副社長様の見惚れるほどのお姿を思い浮かべることに費やして、あっという間に定時を迎えた。