副社長のいきなり求婚宣言!?
 そっか、そうだよね……

 副社長と結婚することを前提にした家、を描かないといけなかったのに、“森の中の小さなお家”を描いてきてしまった私を見かねて、リアルな想像をしやすいようにって、副社長は今日夢を見させてくれたんだ……


 膝の上でささやかに弾ける気泡に目を落とす。

 うつむくとますます気持ちが落ち込む気がした。


 でも、落ち込むって、私……


「まどか」


 沈んでいこうとした気持ちを、不意に掬い上げたのは、顎にかけられた副社長の長い指。


「これが夢じゃないって痕、残してやろうか?」


 高い位置から、顔を傾けながら腰を屈める超絶イケメンが、薄く開いただけの口唇を近づけてきた。


 胸の奥が、素直にきゅんと啼く。

 今度こそ本当に、誰も入り込めない二人きりの部屋。

 見つめ合う男女が作る雰囲気が、どういうことなのか、わからないわけがない……
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