ひざまずいて、愛を乞え~御曹司の一途な愛執~
自分の言うとおりにすれば、蒼佑は幸せなのだと、思いこんでいるのだ。
蒼佑はゆっくりと首を振りながら、それでも母をまっすぐに見つめる。
「俺の将来のためと言うなら、今、俺がなにを思って、なにを行動しているかを見てください。そして俺が不幸になっても、幸せになっても、それは俺の責任で、もう親のあなたの責任ではないんですよ」
これだけ言ってわからないなら、もう蒼佑は、天野家にいられない。そう思ったのだが――。
「りか子」
この沈黙を破り、口を開いたのは、司だった。
「この見合いは、お前がそうしたいからであって、蒼佑のためではないようだな」
「あなた……」
「父さん……ありがとう」
蒼佑はふっと笑って、軽く頭を下げる。
そして顔を上げながら、ハッとした。
まず目を疑った。なぜか、ホテルのラウンジで、葵がコーヒーを飲んでいる姿が見えるのだ。
(俺は、幻覚でも見てるのか……?)
まさか葵がこんなところにいるはずがない。
明日、家に行くと伝えているのだから。
だがどうやっても――葵だ。
次の瞬間、蒼佑は両親を置いて走り出していた。