ひざまずいて、愛を乞え~御曹司の一途な愛執~
「ただいまー!」
その日の夜、九時前にナツメはマンションに帰ってきた。
「お帰りなさい。大内さんに送ってもらったの?」
一足先に帰宅した葵は、なにごともなかったかのように弟を迎え入れて、その表情をじっと観察するように見つめた。
「うん。食事っていっても、急だったからさ。天野さんの知り合いの店に連れて行ってもらって、お肉食べて、うっちーと一緒にタクシーに乗って帰ってきた。てか、お肉、めっちゃうまかった! こーんな分厚いのに、めちゃくちゃ柔らかいの!」
葵は真剣に、彼の人形のようにかわいい顔に憂いがないか、疑念のようなものがないか、探りを入れたが、ニコニコとご機嫌である。
あれこれ心配したが、どうやら杞憂だったようだ。
(よかった……)
葵はホッとしながら、ナツメの背中をトントンと叩く。
「全身からお肉の匂いがするから、シャワーを浴びてね」
「はーい!」
ナツメは元気よく返事をしながら、持っていたリュックを廊下に置き、着ていたカットソーをいきなり脱ぎ始める。