ひざまずいて、愛を乞え~御曹司の一途な愛執~
葵は唇を一文字に噛みしめて、プルプルと震えたが、そこでようやく渉がその気になってくれたのか、
「えっとですね。とりあえず店を出たから、あなたがお客様だということはいったん横に置いといて、少しいいですか」
と、一歩足を踏み出し、口を挟んできた。
その口調は男だった。いつもの柔らかい雰囲気ではない。もしかして、何の打ち合わせもしてないが、彼氏作戦をやってくれるのだろうか。
葵はドキドキしながら、隣の渉の横顔を、こっそりと見あげた。
「――君は?」
蒼佑が切れ長の目を細めて、渉をじっと見つめる。刺すような、値踏みするような視線だ。
「彼女の友人です」
だが、渉は、あっさりとそれを受け流してしまった.
一方、友人と言われて、葵は目を見開いた。
これではもう彼氏作戦を使えないではないか。
(津田さん、話が違うわ、なんでなのー!)
唖然とする葵をよそに、
「まぁ、本当は、嘘の彼氏だって紹介して、あなたを諦めさせようとしてたんですけどね。実際見て、いろいろわかったわ。稚拙な偽彼氏作戦なんて、通用する相手ではなさそうね」
いつものオネエ言葉になってしまった。