ひざまずいて、愛を乞え~御曹司の一途な愛執~
いったいなにを言われたのだろう。
「どうしたの?」
葵は不安に駆られながら、問いかける。
すると蒼佑は渋い表情のまま、「到着に一時間ほどかかると言われた」 と言い、じっと葵を見詰めた。
「い……一時間……!?」
それを聞いて、葵は仰天した。
「一時間もこの中にいないといけないの!?」
叫んだ瞬間、目の前が真っ暗になった。
恐怖が足元から押し寄せてきて、息が止まりそうになる。
「――葵」
蒼佑はすばやく、持っていた葵のバッグを床に下ろし、両腕で葵の体を抱き寄せた。しっかりと、背中に腕を回し、包み込むように抱きしめる。
「大丈夫だ。一時間なんてあっという間だ」
「でっ、でもっ、おっ、落ちたらどうしよう……! 酸素は!?」
少しばかり閉所と、高所の恐怖症の気がある葵は、これから一時間閉じ込められると聞いて、パニックになってしまっていた。