私の声は君だけのもの
あとは優希ってやつの許可だけだな
そいつの許可が必要ってところがイライラしてしまうが今はしかたがない
その次の日、俺が席についてから少しして夏音が学校にきた
なぜか浮かない顔をしている
何でだ?許可をもらえなかったとかか?
「ダメだった?」
「ううん、良いって言われたよ…」
そう言ったときの笑顔はなぜか苦しそうだった
「じゃあ、何かあった?」
「昨日、優希がいいよって言ってくれたとき、嬉しいはずなのになぜか喜べなくて
昔、優希が私に、私の唄を独り占めしたいって言ったの
だから私は今まで優希のためだけに歌ってきた
でも、そんな風に思っていたのは私だけみたい」
そう言って泣きそうな夏音を見ていられなかった