生き続ける意味 **番外編**
その人は、笑っていて、あたしの手をぎゅっと握った。
なぜだか、その瞬間、今まで襲われていた恐怖心がなくなった。
あったかい、気持ちになった。
それが、すべてのきっかけで、あたしは施設から離れて、亮樹兄ちゃんにお世話になることになった。
けど、人見知りでなかなか人に心を開けないあたしは、亮樹兄ちゃんの家にお世話になり始めてからも、なかなか馴染めなくて…。
「やだっ!行かないっ!」
あたしはランドセルを置いて、ソファーにしがみついた。
亮樹兄ちゃんは困った顔で、あたしを抱きかかえた。
「桜ちゃん、学校行かないと。みんな待ってるよ?」
あたしはぶんぶん首を振る。
「行かないぃ…やーだ!家にいる!」
今までふつうに行っていた学校も、なんとなく行きたくなくなったり。
亮樹兄ちゃんにわがままばっかり言ってた。
けど、亮樹兄ちゃんは決して怒らないで、あたしの相手をしてくれた。
学校には、絶対に行かされたけど…。