めはくちほどに

止められなかった。

「……オムライスですよ、今日の夕飯」

「あ、そのこと飛んでた」

どっか抜けてるんだよね、このひと。

既にプリンを手に提げている副社長を見上げる。

「甘いものお好きなんですね」

「君が好きなんじゃないの?」

「え、どうしてそれを……」

「飲み会の帰りに言ってたよ」

副社長は私の家に来ることになった経緯を知っているのかもしれない。

「姉弟もみんな甘いものが好きだとも言ってた」

それは間違いじゃないです。首を振る。

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