めはくちほどに
曲がり角を曲がると、すぐに家がある。
「副社長は、兄弟いらっしゃるんですか?」
「いるよ、兄が一人」
「仲は良いんですか?」
うーん、と考える。あ、立ち入った話をし過ぎたかもしれない。
「昔から悪くもなく良くもなくって感じかな」
家に着いた。回答を聞く前に鍵を出して、扉を開く。
「兄弟だとそういう感じなんですかね?」
「どうだろう」
「うちは女ばっかりなので……」
あんまり想像がつかないです。
玄関に入ると、星子の姿があった。