お茶にしましょうか
例えば、授業で行った「リレー作文」などがそうです。

始まりは確か、先生が黒板に記したこの様な文章でした。



『よく晴れた昼間のこと、カフェのテラスにてコーヒーを飲んでいた。』



それから、生徒が一行ずつ、文を繋げてゆくのです。

その作文の内容は、いつしかこう変わっていったのでした。

カフェのテラスでコーヒーを飲んでいた青年は、偶然その場で出会った女性と連絡先を交換するのです。

そして、普通の日常を送っていた青年でしたが、数日後に女性から電話がかかってきます。

とうとう、私の番が回ってまいりました。

私に回ってきた文は、これでした。



『電話の向こうから聞こえる声は、泣いていた。』



私の前に書いた人というのは、いったいどんな意図をもって、電話口の女性を泣かせたというのでしょう。

私は、困り果ててしまいました。

悩みに悩んだ末、わたしはシャープペンを作文用紙の上で滑らせました。



『「私は、この星の者ではないのです」』



それを次の席のクラスメイトへと渡すと突然、怒鳴られてしまったのです。



「この後をどう書けっていうんだよ!!」



私は、それにひどく怖じ気づいてしまい、その時間が終わるまで声を出せなくなってしまいました。

私がこんな台詞を書いてしまったのには、笑っていただけるかもしれない、この後少し書きやすくなるかもしれない、と気遣ったつもりだったのです。
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