お茶にしましょうか
「おい、そんな言い方は無いだろ」
その場の空気が、突然に変わったようでした。
その台詞を言った声は、いつもより低く、静かでした。
そして、その声の主は、江波くんだったのです。
今日はマネージャーの彼女の表情は、いつもと変わらずとも、びくついてらっしゃいました。
まるで、普段のお二人が逆転しているようでした。
中身が入れ替わっているのでは、そのようなことを思ってしまう程に、です。
「お前、この前の萩原さんの演奏を聴いて、萩原さん自身にも、感心していたじゃないか。熱心で努力家なんだな、って言っていたじゃないか。俺は、確かに聞いたぞ」
「そうよ…言ったわよ…」
口を覆っていた彼女の手は、いつの間にか拳にへと、変わっておりました。
彼女は、声を大きくして、おっしゃったのです。
そして、その声はやはり震えていました。
「だから、この子を勧誘しているんでしょう…!あんた達の、野球部の未来のために…!」