青い空の下、僕たちは今も

"すき"





「…夢か」


それは、半年前の出来事

周りが騒いだせいで教室全体の騒ぎとなり
そのまま学校中へ


「お前が無駄に有名だから…」


隣でスヤスヤ寝息をたてる桜花の頬をつねる

迷惑そうに顔をしかめるも
まだ夢の中

起きそうもないので適当に桜花の髪を弄ぶ


サラサラに見えて触るとふわっと柔らかく、消えてしまいそうな細い髪

小さく、けれど形の良い鼻

ふっくらとした、広角の上がった口

閉じられた大きな目には
長く上がったまつ毛


「…まぁ、モテるわなぁ」


一言で言えば可愛い

ぼーっとしたところは
ミステリアスだと評価をあげているらしい


まぁ、考えてることなんて
絵のことくらいなんだろうけど


弁解するのも面倒で
ズルズルと一か月、二ヶ月過ぎて

もう弁解も何もなくなってきた


「彼女、ね」


元々距離が近かったのもあったけど
付き合う前と何も変わらない

この関係

この感情


時計を見ればもう7時


「桜花、桜花!」


反応のない桜花を無理矢理机から引き剥がす


「…やめてよ、棗」

「帰るぞ」


美術室

迎えに来た俺を無視して絵を描き続けたくせに
完成したらすぐ寝たらしい


「終わった?」

「…微妙」





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