始まりのラピスラズリ


……俺、なんであの時、あいつのこと綺麗だ、とか思ったんだ。


「はぁ……」


過去の自分を思い出し、ため息をつく。


あいつ、入学式の日は別人だった、なんてことないよな…?


有り得ないのにそう思ってしまうのは、入学式の日の椎名と今の椎名が違いすぎるからなのだろう。


実際、入学式の1週間後くらいのお昼にたまたま食堂で会った時には、椎名はもうあのテンションだった。


『あれ、ハル先輩だー!お久しぶりです!
先輩も食堂のランチなんですねー』


入学式の時とは別人すぎて、俺は鳩が豆鉄砲を食ったような顔、ぐらいはしていたんじゃないかと自分で思う。


そして、いきなり呼ばれたハル先輩、という呼び方に俺は、やっぱり入学式の日のあれは彼女だったのか、と確信した。

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