眼鏡をかけるのは、溺愛のサイン。


「一緒に食べませんか。エレベーターの横に開放してる休憩室が各フロアにあるんです」
「ありがとうございます。ぜひ!」

片野さんが救世主に見れる。とてもうれしくて飛びついてしまった。

「片野さん、いつもはどこで食事取られてるんですか」

 お互いお弁当を持って移動する。エレベーターの横に丸いテーブル二つと椅子四席、奥には一人ソファが四つあった。

片野さんは奥のソファに座ると、弁当もそっちのけでいそいそと携帯を取り出す。

「いつもは社長に同行した先とか、あとは同期とここで待ち合わせしております。最上階は、社長の周りの人たちしか此処を使わないので穴場なのですよ」

「そうなんですね」

 同期がいない派遣だから寂しいと思ったけど、ここに居ても使う人は片野さんか片野さんの同期の方だけなのか。じゃあどちらにしても他の女性社員と触れ合う機会はないようだ。


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