眼鏡をかけるのは、溺愛のサイン。


「それより、これ見てください。実は先日孫が生まれたんです。これがあくびの写真です」
「わー。可愛いです!」
「こっちは娘と同じポーズで寝ているところ、これは娘に怒られたんで消されそうになって阻止するのが大変でした。こちらは私に抱っこされたら泣いてしまって――」

 先日生まれたお孫さんの話は、実は生まれた日から毎日聞いてるのだけど片野さんがとても楽しそうに話しているので私も楽しい。

そして赤ちゃんの写真がとても可愛い。

「片野さん、内線何回かしたんですけど」

二人で話していると、エレベーターから降りてきた女性社員が不満げにこちらに寄ってきた。

「大変申し訳ありません」
私が立ち上がって謝ったのだけど、刺すような睨みに固まってしまう。

「この時間は社員は休憩中ですよ。いくら私でも出ません」
「休憩時間をずらすか、派遣を電話の前で座らせとけばいいのに。大事な要件が電話で来たらどうするんですか?」
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