眼鏡をかけるのは、溺愛のサイン。


「で、正式に言う話は、仕事のことがいい? この心臓の答えがいい?」

本当に運命みたい。彼も気づいてくれていたんだ。

「仕事じゃないほうがいいです!」

 おずおずと背中を抱きしめ返す。私からの返事はそれで十分だったらしい。

「朝から家に帰ってもずっと、君を独り占めしたい。22時からは君の好きなドラマも観ていい。だから契約が終わってもそばにいてくれ」


冗談を混ぜつつ、最後は甘くかすれた声でおねだりするようだった。

私が頷くと、フッと鼻で笑って『素直だな』という。

その時の顔も険しくてちょっと怖かったけれど、それが照れてるからだと私には分かったので幸せだった。


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