ドクターと甘い恋

*嶺菜side

ーーガラ。


陽向先生は銀のトレーに注射器を持って入ってきた。

最近銀のトレーを見るだけでも体が震える。



怖い、いやだ。

そんな感情がぐるぐると心を占める。



「嶺菜、痛いけど注射頑張ろっか。」


「やっ…やんないっ」



痛いのがわかってるからやりたくない。

なのにいつだって、陽向先生は強引だ。



でも本当はわかってる…。

わたしの病気を治すためだって。



でも、それを素直に受け入れられるほど大人じゃないんだもん…っ。

だから、いつも困らせてしまう。


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