俺はいつも一歩遅くて…。




キーンコーンカーンコーン
キーンコーンカーンコーン


よーしっ。部活…っ



俺と椿は一緒に部活に向かう。


いつも通り部室で着替えて
体育館の中へ足を踏み入れるが、
やっぱり3年はいない。


「何か…人数が少なく見える。」
「そーだな。」



その日の部活は少し寂しくて、
以前よりも気の引き締まる部活だった。





「おーい。なずなっ椿‼︎」

部活終わり、
着替え終わって校門へ向かう俺達に
声を掛けて駆け寄ってきたのは
今のキャプテン。桜庭先輩だった。

「桜庭先輩」

「ごめんな、呼び止めて。
歩きながらで良いから
ちょっと聞きたい事があるんだ‼︎」

「何すか?」

俺と椿は再び歩き始める。
それに合わせて桜庭先輩も歩く。


「今日の部活、やりにくかったか?」

「あー。確かにやりにくかったっす」

「えぇっ‼︎やっぱりそうかなっ⁈」

「あ、多分椿が言ってるのは、
3年がいなかったから
少し違和感があったって話で、
メニューは、結構良いと思いますよ。」

「あー!メニューの話っすか‼︎
めっちゃ良いと思います‼︎」

「良かった〜」

ホッと安心したように
桜庭先輩が、胸をなでおろす。



「おーい!なずなっ椿〜‼︎」

声のする方を見ると、校門のそばで
真琴が大きく手を振っている。
その隣で凛がこっちを見ている。


「あの子達は…
大会で応援に来てくれていた子達だ。」

「こんにちわー!桜庭先輩でしたよね?
今井真琴です‼︎よろしくお願いします‼︎」

真琴はぺこりと頭を下げた。

「今井さんか〜‼︎俺は桜庭海斗。よろしくね」

桜庭先輩も挨拶をした。

「お久しぶりです。先輩‼︎」

凛は1度お辞儀をした。

「あっ。凛は1度会ったんだよね?」

「あっ‼︎えっと…」

「あっ‼︎お礼言うの忘れてた‼︎
部活、大丈夫だったよ‼︎ありがとうねっ」

ぽんぽんっ


桜庭先輩は凛の頭を撫でながら
凛に笑顔を向けた。


あ!桜庭先輩め〜っ‼︎


「役に立てて良かったです‼︎」


凛がそう言うと、


「じゃあ、僕もう帰るね」


そう言って桜庭先輩は、
さっさと帰ってしまった。



ふと校庭を見ると、夕日の光で
とても濃いオレンジ色に染まっていた。



そして俺達は、いつものように
4人で歩いて帰った。
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