秘密の糸Season1㊤
その時、井上さんが口を開いた。


「三田倉」


「はい」


「バイト初日の日、冷たくして悪かった…。ごめん…。」


「そんな…大丈夫です!私こそたくさん迷惑かけてすみません!」


「いや、三田倉は悪くない。」


「え?」


「…昔の新人従業員が、俺に一切質問せず勝手な判断をした事があって…。
一回お客様からクレームが来たんだ。
そいつらと重ねて、三田倉を見てた。
三田倉は一切悪くないのに、本当にごめん…。」


そう言って、井上さんが頭を下げた。


「井上さん…。」


「ずっと謝りたかったんだ、今更で本当ごめん…。
三田倉はあいつらと全然違ってたのに…。」


「そんな…!
私はいつも、井上さんに助けられています!
こちらこそたくさんご迷惑をかけてすみません…!
これからも、よろしくお願い致します!」


私もそう言って、頭を下げた。


両方とも、頭を下げた状態になった。


「…っぷ、何だこれ!」


そう言って、井上さんが笑った。


(井上さんの笑った顔、初めて見た。)


「…ふふふ」


私もつられて、笑った。


「これからもよろしくな、三田倉。」


「はい!」


そして、その後今日の仕事も無事に終える事が出来た。
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