秘密の糸Season1㊤
「…え?」


「俺の前ぐらい、そんなムリして笑うなよ…!」


俺は声を荒げてしまった。



俺のせいだ…。



俺が問い詰めたから…。


「ムリなんてしてないよ?」


円花も嘘が下手だ…。


明らかに顔が引きずってる…。


それなのにムリして必死に笑おうとする…。


「…俺はずっとずっと昔から円花を見てきた。
だから円花の事は分かってる」


「え?」


「…ずっとずっと円花が好きだった。
だけど二人が両思いと気づいて、
その時はもう俺の入る隙なんてなかった。
だから円花の事諦めた。」


「…秀…兄ちゃん…?」


俺がそう言った時、円花はびっくりしていた。


「…でも!」


俺は円花の目を見て、また抱きしめた。


「…再会した時、まだ円花を諦められない事に気づいた」


「え?」


「円花が俺を兄貴としてしか見れなくても良い。
これからはもう俺がずっと、円花の側にいる」


「…秀兄ちゃん?」


「俺はやっぱり円花を手離すなんて出来ない。
「お前がそうやって辛い思いする所なんてもう見てられないんだよ…!」


「……」


「…俺にしろよ」


「え?」


「俺なら円花をこんなふうに泣かせたりしない。」


「…秀兄ちゃん…」


そして俺は、再び円花の身体を離した。


そして涙を指で拭った。
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