午前0時、夜空の下で。 ―Short Story―
ふと問われたジュリアは、何も言わず目を逸らした。
「広間で言われたのよ。ジュリア様にはその気がない、カザリナ様が正室の最有力候補ですわね、と。まさかとは思うけれど、あなた私に遠慮しているの?
ユースリア様から、陛下の夜伽をと言われているのでしょう?」
声をひそめてそっと囁いたカザリナに、ジュリアは心外だと言わんばかりに口を開く。
「私は遠慮なんて言葉知らないわ。そうね、確かにお母様からはそう言われているけれど。
理由はただ一つ、陛下が気に食わないからよ」
「ジュリア、声が――」
「私の親友を散々泣かせているような男に、操を捧げてやるつもりなど毛頭ないわ」
「……」
ジュリアの言葉にカザリナは一瞬顔を歪め、それからゆるゆると微笑んだ。
「広間で言われたのよ。ジュリア様にはその気がない、カザリナ様が正室の最有力候補ですわね、と。まさかとは思うけれど、あなた私に遠慮しているの?
ユースリア様から、陛下の夜伽をと言われているのでしょう?」
声をひそめてそっと囁いたカザリナに、ジュリアは心外だと言わんばかりに口を開く。
「私は遠慮なんて言葉知らないわ。そうね、確かにお母様からはそう言われているけれど。
理由はただ一つ、陛下が気に食わないからよ」
「ジュリア、声が――」
「私の親友を散々泣かせているような男に、操を捧げてやるつもりなど毛頭ないわ」
「……」
ジュリアの言葉にカザリナは一瞬顔を歪め、それからゆるゆると微笑んだ。