午前0時、夜空の下で。 ―Short Story―
最後まで迷惑をかけてしまうとカザリナは落ち込んだけれど、母親は穏やかに微笑んで娘の背中を押した。

「娘の幸せを誰よりも願うのは、母の特権ですよ」

私も一緒に行きたいのだけれどと漏らす母親に、カザリナは慌てて首を振る。

温かい家族を持てたことが、彼女にとって最大の幸運だ。

「さあ、カザリナ様」

促す腹心の侍女に頷いて、カザリナは馬車に乗り込む。

もう二度と、黎の地を踏むつもりはない。

愛した王を殺す女が治める国。

そして彼女は声に出さず、胸の内でそっと囁いた。



――妻になりたいと願ったひとを奪った女。

私はあの女を、決して許さない。










end.
< 72 / 72 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:36

この作品の感想を3つまで選択できます。

  • 処理中にエラーが発生したためひとこと感想を投票できません。
  • 投票する

この作家の他の作品

リベンジコレクション
神崎栞/著

総文字数/18,898

恋愛(ラブコメ)30ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
「こっ酷くお前を捨てた男に、反撃してやろう」 どん底の私に手を差し伸べたのは、挑発的な笑みを浮かべる男だった。
ラズの森のアルシア
神崎栞/著

総文字数/11,878

絵本・童話24ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
つんと尖った三角帽子。 先祖代々受け継がれてきた古いほうきに、真っ黒なワンピース。 足元も黒のミドルブーツと黒づくめの出で立ちだけど、唯一のおしゃれは胸元できらりと光る銀色の猫型プレート。 これはそんな小さな魔女のお話です。 ハロウィン期間限定の特別小説 公開終了。
午前0時、夜空の下で
  • 書籍化作品
神崎栞/著

総文字数/175,525

ファンタジー547ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
大正時代に建てられた洋館 水の音に誘われて 地下の扉を開いた瞬間から―― 少女の運命は変わる 2011年10月24日 完結 ※書籍化作品の公開範囲変更に伴い、11話以降を非公開に設定しています。

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop