【短編】とある悪い日の話




「篠田さんって都和ちゃんって言うんですね。可愛い名前」




最悪。名前バレまでした。




「これから都和ちゃんって呼んでもいいですか?あ、都和先輩でもいいですけど」




さっきまであんなにドスの効いた声で喋っていたくせに、またいつもの調子でヘラヘラして。




「俺のことも飛鳥でいいですよ。ね、都和ちゃん」




「……ちゃん付けなんて歳でもないんだけど」




「じゃあ、都和」




都和先輩はどうした都和先輩は。




いきなり呼び捨てにされたけど、どうしてか嫌な気はしない。




ああ、嫌だな。



完全に七咲のペースだ。





これだから、近付かないようにシャットアウトしていたのに。





「あんまり、おばさんをからかわないでよ」




今日で30になった私をからかわないで欲しい。




今まで付き合った人だって片手で数えるくらいなんだから。



七咲とは、違うんだから。




だから、そういう態度になんの意味もないと分かっていてもどきどきしてしまうから。




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