愛しの許嫁~御曹司の花嫁になります~
 でも、今更自分の気持ちに気づいたところでもう遅い、なにもかも――。

「北島に何か言われたりしなかったか?」

 そっと身体を離すと、鷹野部長はこの上なく優しい口調で私に言った。

「いえ、特に……なにも、いい先輩です」

「そうか」

 許嫁のことは否定しないんだ。そう思うと悲しくなる。

「あの、ここじゃなんですから、場所変えませんか?」

 最初で最後かもしれない鷹野部長とのデートだということをふと思い出し、私はさっと明るい表情に変えて言った。

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