愛しの許嫁~御曹司の花嫁になります~
「話したいこと?」

「あぁ、会ってから話したいんだ。でも、今はちょっと時間がなくて……俺の仕事が終わったら、茜ちゃんのアパートに行ってもいいか?」

 話したいことってなんだろう? 気になるけど、時間がないんじゃ聞けないよね――。

「わかりました」

「じゃあ、また後でな」

 鷹野部長にポンと優しく肩を叩かれ、忙しなくエレベーターホールに消えていくその背中を、私はずっと見つめていた。


 鷹野部長の話したいこと。私はそれについて色々妄想しながら帰宅した。

 そうだ、私……まだ鷹野部長に自分の気持ち、伝えてなかったんだ――。

 鷹野部長がうちに来てくれる。その時に私も好きって伝えよう――。

 そう、心の中で決心した矢先、郵便ポストの中に全ての夢も希望も絶たれるような手紙が入っていた。
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