愛しの許嫁~御曹司の花嫁になります~
「遼一さんと結婚ということになれば、私も将来安心ですね」

 微笑みながら開口一番の彼女の言葉はこれだった。

 あぁ、またか――。

 そう思った。俺に寄って集る女はいつも俺の家柄しか見ていない。誰も、俺自身のことなんか、見てはくれなかった。

「俺には兄がいますので、父の会社はいずれ兄が継ぐことになると思いますよ、俺と結婚することが安心というのは、ちょっと思い違いじゃないか」

「……そう、ですか」

 明らかに興味がなくなったと言わんばかりの反応に少し苛立ったが、十四歳にしてこの下心、女は怖い。

 するとその時だった。

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