たった一言を君に
「苑田、お疲れ」

口パクでそういった。
中学3年で猛勉強して口の動きで大体の言葉は分かる。私は笑顔を貼り付けて、スマホのメモ欄に書き込む。
これも常人の数倍の速さにまでなった。

『瀬良君こそお疲れ様。』

瀬良君はありがとと笑って私のカメラを指さす。

「いつも、何撮ってんの?」

私はカメラを見せる。
中には青春が詰まっている。
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