天使の傷跡
「あ、あの、緊急事態って一体何が…? 他の皆さんは…」
キョロキョロと当たりを見回すけど見知った顔は誰一人いない。
ということは私が何かしらのミスをしてしまったということだろうか。
「あぁ、他の奴は呼んでない。用があるのはお前だけだからな」
やっぱり…!
一体何をしでかしてしまったのかと冷や汗が滲んでくる。
「じゃあ行こうか」
「……えっ?」
立ち上がった課長がチャリッと見せたのは車のキー。
視線で示したのは背後にある黒のセダンで、緊急事態とそれがどう繋がるのか、ますます混乱を極めていく。
「あ、あの…?」
「一緒にメシ食いに行くぞ」
「えっ?」
あまりにもサラッと言われてよくわからなかった。
今、何と?
「まぁざっくり言えば初デートってやつだな」
「……………は?!」
思いっきり声が裏返ったのと、「まぁデートなんてガラじゃないんだがな」と課長が笑うのはほぼ同時だった。