天使の傷跡

『何も気にする必要はない。ここで食べればいい』

『…え?』

『まさか握り飯食って上司に叱られると思ったか?』

思いっきりの図星に押し黙った私に、課長はハハハッと声を上げて笑う。

『そんなことで怒る上司がどこにいるんだよ。勤務中に堂々と食うならならまだしも、俺はそこまで狭量じゃないぞ? いいから気にせず食え』

『で、でも…』

『あー、じゃあこれは上司命令だ。わかったか?』

うっ、そのセリフは反則じゃありませんか?

『…は、はい…わかりました。ありがとうございます』

ペコッと頭を下げた私に、課長はだから礼を言うことじゃないだろーとまた笑う。
その笑顔を見ていたら、ガチガチになっていた体からフッと力が抜けていった。

『…いただきます』

『おー、思う存分食え』

再び座った私がおにぎりを取り出す姿を、同じくデスクに戻った課長は手に顎を乗せた姿勢でニコニコと観察している。

…お願いだからそんなに見ないでください。


ぐぅうううぅうううう~~~~っ。

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