天使の傷跡


バサバサバサッ!!!!


分厚いファイルが自分の足目がけて勢いよく落下していった。

…けれど、痛みなど全くわからない。

「おい、大丈夫か?」

今は何もない場所を握りしめた格好のまま硬直する私の前に、全ての元凶とも言える人物が近づいてくる。

「ほら、どこも怪我してないか?」

「………は?」

「いや、だから、足は____」

「何を、言われました?」

こんなに普通に接するってことは、私の空耳?

…だよね。そうに決まって____

「あぁ。俺と結婚してくれと言った。…って、おいっ!」

拾って渡されたばかりのファイルが再び落下していく。
書類の一部が辺り一面に散らばってしまったけれど、そんなことなどちっとも頭に入ってこない。

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