天使の傷跡
片方の手がさらりと私の髪を撫でる。
その柔らかな手の動きとは真逆に、私は全身を硬直させた。
っ、もうだめ。
これ以上は心臓が、もたないっ…!
「少しはそれらしいことをさせてくれよ」
「……え?」
直後ふわりと、頭のてっぺんに温かくて柔らかな何かが触れた。
「俺は優花の恋人だろう? だったら少しはそれらしいことをさせてくれないか」
「_____」
思わず見上げてしまったその人はとても穏やかな顔をしていた。
けれどその瞳の奥には決して冷めることのないはっきりとした熱を感じる。
その眼差しに、私は何も言い返すこともできないまま身動き一つできなくなる。
「出掛けようか」
「…え?」
金縛りにあったように固まってしまった私の緊張をほぐすように、大きな手が私の頭を何度も何度も撫でる。
「明日は外に出よう」