天使の傷跡
一瞬状況がわからなくて真っ白になる。
「……大丈夫か?」
けれどその言葉と共に背中にぎゅっと力が入って、課長に抱きしめられているのだと気付いた。そして私が課長をソファーに押し座らせるような形で倒れてしまったのだということにも。
きっと彼は倒れ込んできた私を受け止めてくれただけだ。
状況的にそれ以外あり得ないし、課長にとっては不可抗力とも言えるだろう。
でも、それにしたって…!
「っ、だ、大丈夫ですっ! 大丈夫ですからっ!! 離___」
「あと少しこのままで」
「____?!!」
最後まで言いきることは叶わず、ますます腕に力がこめられてしまった。
…きっと課長にしてみれば大した力を入れていないのだろう。
それでも、自分を引き寄せるその力強さに、そして洋服越しでもはっきりとわかる厚い胸板に、あらためて彼が男の人なんだということを嫌でも実感させられる。
「…っ」
ドクドクと全身が激しく鼓動する。
きっと密着している課長には全てが伝わっているはずだ。