飛べない鳥に、口づけを。





樹君を改めて見る。

長年サッカーをしてきて日焼けした肌に、少し童顔で優しそうな顔つき。

笑うと目が細くなり、口角が上がる。

こんなにもかっこよくて、性格も良くて、運動神経も抜群な樹君と知り合えたことだけでも奇跡だ。

樹君と「友達」だった日々は、毎日が楽しくて幸せだった。





「あたしさ……樹君と会えて、すごく前向きになれた。

自分なんて大嫌いだったけど、少しだけ自信が持てた」



「ありがとう」




その笑顔を見ると泣いてしまいそうだから、慌てて下を向く。




「樹君と友達になれて夢みたいだよ」


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