飛べない鳥に、口づけを。





あたしはツンっとした態度で、急いで薬の説明をした。

戸崎柊は意外にもふんふんと聞いてくれて、



「……なぁ?

この痛み止めって、イチゴミルクと一緒に飲んでもいいのか?」



意味不明な質問をする。



……はぁ?

なんでイチゴミルク?

この人、絶対馬鹿だ。




頭の中で嘲笑いながら、



「勝手にしてください」



彼に言う。

そう言いながら分かってしまった。





戸崎柊はあたしを冷やかしにやってきたのだ。

樹君に惚れた変な女を見るために。

そう考えると、胸の奥底がむしゃくしゃする。

人の不幸を楽しむなんて、戸崎柊は最低な男だ。


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