飛べない鳥に、口づけを。
樹君のことを考えるあまり、暗い表情になっていたのだろう。
「菜緒ちゃんがそんな顔しないでよ」
樹君は笑いながら言う。
その顔は、思いのほか明るかった。
「俺、きっと良くなるよ。
菜緒ちゃんが応援してくれるなら、今シーズン最後の試合にも出られそう」
「……え?」
「俺が出ないと、アスールはJ2に降格するでしょ?」
わざとらしく樹君は言う。
その言葉に頷くことは出来なかった。