飛べない鳥に、口づけを。





小沢さんは皺の寄った顔をさらに皺くちゃにして笑った。

幸せそうな満面の笑みを見ると、あたしはさらに幸せになる。




「川口さんが……」



笑顔のままそう呟く小沢さんに、



「これからもよろしくお願いします」



あたしも満面の笑みで頭を下げていた。

そんなあたしたちに、小沢さんは言う。




「私はまだまだ死ぬわけにはいかないね」



「そうですよ、小沢さん!」



「ひ孫の顔を見るまでは……」



「ひっ……ひ孫!?」




あたしは素っ頓狂な声を上げていた。

付き合い始めたばかりなのに、子供の相談だなんて!!

当然、あたしたちはまだ、そんな深い関係ではない。


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