飛べない鳥に、口づけを。
「樹……さん……」
思わず声に出したあたしを見て、いっちゃんこと樹さんはにこっと笑った。
相変わらず爽やかなその笑顔から、目が離せなくなる。
「これからも、祖母をよろしくお願いします」
樹さんは一礼して去っていった。
松葉杖をついて、ゆっくりと。
そんな樹さんを、近くの患者がずっと見ていた。
松葉杖で目立つのかもしれないし、イケメンだからかもしれない。
患者とともに、樹さんの後ろ姿をボケーっと見ていたあたしは……
はっと我に返った。
あたし、負傷中の樹さんを薬局まで来させて、なに一人で帰らせているんだろう!
せめて、近くまで送り届けないと!!