飛べない鳥に、口づけを。
近くに座っていた患者が、耐えきれないようにふふっと笑った。
そして……
いっちゃんは一瞬ぽかーんとした表情を浮かべたが……満面の笑みになる。
すごく楽しそうで、無邪気な子供みたいな笑みだ。
その笑顔を見て、一瞬胸がズキュンと音を立てた。
訳の分からない胸をひっ掴み、真っ赤になっていっちゃんを見ているあたしに、彼は言う。
「川口さんって面白いですね。
……天然?」
てっ……天然だなんて!!
どぎまぎして何も話せないあたしを笑顔で見ながら、いっちゃんは続ける。
「俺は小沢樹(いつき)といいます。
いっちゃんなんて呼ぶのは、祖母だけです」