飛べない鳥に、口づけを。
樹さんは今日も松葉杖をついていた。
そのハーフパンツから覗く左足は、ギプスで固く固定されている。
そして、怪我をしていない右足は、立派な筋肉が付いている。
慣れない男性の足にクラクラするあたしは、必死に言い聞かせた。
今は仕事、今は仕事!
男性の足に見惚れるなんて、あたしは変態だ。
正直、仕事どころではないあたしに、樹さんは申し訳なさそうに言う。
「川口さん、忙しそうでしたよね。
薬局のほうは大丈夫ですか?」
「いっ……忙しそう?」
思わず聞き返したあたしに、樹さんは信じられないことを言う。
「だって、電話した時息を切らしていたから」
「!?」
その言葉に、あたしは固まっていた。