飛べない鳥に、口づけを。




息を切らしていた訳ではない。

緊張しすぎてハァハァ言っていたのだ。

そんな愚かなこと、とてもじゃないが伝えられない。




あたしはピンと胸を張り、



「まっ……まぁ、忙しかったですが、今は大丈夫です」



平静を装う。



「あたしは、小沢さんの役に立ちたいので!」



そう言うあたしを見て、樹さんはまた顔をくしゃっとさせて笑った。

まるで少年のような明るい笑みだ。

そして、例外なくあたしの胸が悲鳴を上げた。


< 39 / 252 >

この作品をシェア

pagetop