飛べない鳥に、口づけを。
「どっちにしろ、小沢樹だろ?
あの人かっこいいし、サッカーも出来るし、性格も良さそうじゃん。
女には困ってないと思うぞ?」
矢沢さんの正論があたしを突き刺す。
項垂れるあたしに、矢沢さんはとどめを刺した。
「川口の手には負えないんじゃね?」
言われなくても分かっていた。
だけど、言われるとなおさら思う。
あたしの恋は、実るはずもないということを。
……そうだよね、樹さんには恋人がいるかもしれない。
あたしは一人で浮かれていて、樹さんがフリーだと勝手に決めつけていた。
不毛な恋だということは、嫌ほど理解した。
だけど……あたしの心の中には、今朝の出来事がしこりのように残っている。
あたしは樹さんを傷つけてしまった。
そのことに対しては、しっかりと謝っておきたい。