飛べない鳥に、口づけを。





「でも、負傷中だし、今期は自慢出来ること何もしていないし。

菜緒ちゃんには、ちゃんと復帰してから知ってもらいたかったな」





菜緒ちゃんと言われて心臓が止まりそうになる。

樹さんはわざとやっているのだろうか。

あたしの反応を見て、内心楽しんでいるのだろうか。




どぎまぎするあたしの頭の中を、矢沢さんの言葉が過ぎる。

ー川口の手には負えないんじゃね?ー

ごもっともなお言葉だ。

あたしはこうもドキドキして胸を焦がしているというのに、樹さんは普通だ。

信じられないほど普通だ。

きっと、樹さんにとってあたしは、本当にただの"友達"なのだろう。


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