支社長は取り扱い要注意!
「お疲れ様でしたー」

いつものようにバイトを終わらせて店を出ると、支社長が迎えにきていた。

彼の顔を見た瞬間、わたしの胸がチクリ…と痛んだ。

支社長が運転する車に乗って、家に帰るのも当たり前になった。

運転をしている彼の横顔は端正で、とてもかっこよかった。

その横顔から目をそらすと、
「――支社長」

わたしは呼んだ。

「どうした?」

そう聞いてきた支社長に、
「聞きました」

わたしは話を切り出した。

「支社長が結婚するって言う話」

見ていないけれど、支社長が驚いたのがわかった。

「お前、それをどこで…?」

何で知っているんだと聞きたそうな支社長に、
「噂になっていますよ、支社長が政略結婚をして会社を継ぐって言う話」

わたしは返事をした。
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