支社長は取り扱い要注意!
「どこで情報が漏れたんだ…」

チラリと支社長に視線を向けると、彼は悔しそうに唇を噛んでいた。

そんな彼の顔から目をそらすと、
「近いうちに出て行きますから」

わたしは話を続けた。

「で、出て行くって…」

「約束は3ヶ月ですよね?

でも、早い方が何かと都合がいいんじゃないですか?

結婚相手を家に迎え入れることができますし、いろいろと話が進みやすいでしょう」

支社長が路肩に車を停車した。

エンジンを止めると、
「出て行くって、どう言うことなんだ?」

支社長がそう言ってわたしの顔を覗き込んできた。

「そのままの意味です」

その顔に向かって、わたしは言い返した。

「支社長が早く結婚するために出て行くと言っているんです」

さらに言い返したわたしに、支社長は信じられないと言う顔をした。
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