「先輩、甘えるってなんですか?」
私は歩きながら実乃里に聞こえるか聞こえないかの声で呟いた。





「・・・・・・別の世界に来たみたい。何もかもが想像と違くて、目がおかしくなったみたい。」





私の声は実乃里には聞こえていなくて、春の風と一緒に消えた。




体育館には続々と新入生が入って来ていた。




「沙代、今日、お母さん来る?」




「聞いてない。来るのかな?実乃里は?」




「・・・・そっか。私の家は来るって。大丈夫!お母さんが二人分写真たくさん撮ってくれるって言ってたから!!」




実乃里に気を使わせちゃったかな。




「ありがとう。大丈夫。」




この学校は体育館の後ろの壁にクラス分けが書いてあるらしい。




えーっと、私の名前は・・・・・・・




「あった!!私3組!!沙代は?」




「私も3組だよー!!良かったー!!」




また実乃里と一緒だーーー!!




嬉しい!!




「新入生の皆さんはクラスごとに座ってください。」





アナウンスがなって私達は席に座った。





式が始まると周りのざわつきがなくなる。





「まず初めに在校生の挨拶。代表、熊谷鳳駕。」





「はいっ!!」




「「えっ!?」」




< 8 / 191 >

この作品をシェア

pagetop